薬剤性せん妄(その1)

《はじめに》

認知低下はせん妄発症と関連しますが、同一の事象ではありません。私は、「認知低下」→「閾値下せん妄状態」→「せん妄発症」と、段階的に考えています。

このまとめでは、「薬剤と認知低下の関連性」についての情報はできるだけ割愛し、主として「薬剤とせん妄発症の関連性」または「薬剤とせん妄リスクの関連性」についての情報を記載しました。

また、薬剤性せん妄に関するデータの多くは、周術期せん妄の研究から得られたものであるといわれますが Vasilevskisら, 2012, PMID: 23040281、このまとめでは、周術期せん妄だけが対象の文献は割愛しました。

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がん関連倦怠感 2016

がん関連倦怠感は

✓ 健常人の倦怠感と比較して、より重度であり、より苦痛であり、休息や睡眠で改善しないか、改善してもごく軽度である (Piper BFら, 2010, pubmed/20870639)

✓ 進行がん患者において、安静は倦怠感に有効でない (Porockら, 2000, pubmed/11019505)

✓ 倦怠感の症状は多次元的である (Okuyamaら, 2000, pubmed/10687321)
-身体的倦怠感 (易疲労、活動能力の低下、身体のだるさ、身の置き所のなさなど)
-精神的倦怠感 (活気, 興味, 集中力, 気力の低下)
-認知的倦怠感 (注意力, 記憶力, 思考力の低下, 言い間違い) “がん関連倦怠感 2016” の続きを読む