オピオイドによる便秘(Opioid-Induced Constipation (OIC)) 2016

☆ オピオイドの用量と便秘との関連は?

・欧州11か国の1568例の癌患者の多変量解析では、OICは、Karnofsky Performance Statusが80%以下であること、ベッドか椅子で過ごす時間が多いこと、遠隔転移があること、膨張性下剤と大腸刺激性下剤を併用していること、入院していること、遺伝子の一塩基多型があること(TPH1、OPRM1、ABCB1、CHRM3、COMT)と関連があった。オピオイドの用量とは関連がなかった。[Laugsandら, 2015, pubmed/26087058]

・米国の146例の非癌性慢性疼痛患者の多変量解析では、OICは、オピオイドの使用期間が長いことが最大の要因であった。オピオイドが高用量であることは要因ではなかった。[Tutejaら, 2010, pubmed/20100280]

・英国の274例の癌患者の解析(詳細不明)では、下剤への反応はモルヒネの用量と関連がなかった。[Droneyら, 2008, pubmed/18197439]

・日本の83例の癌患者の多変量解析では、便秘のリスクはオピオイドの用量と関連しなかった(経口徐放性オキシコドン?が1日20mgより多い患者 vs 20mg以下の患者)。[Ishiharaら, 2010, pubmed/19921282]

・英国の23例の癌患者の単変量解析では、ピコスルファート (ラキソベロン®) の用量 (1日10-45滴) はモルヒネの用量 (経口換算1日60-2880mg) と関連しなかった。[Twycrossら, 2006, pubmed/16875112]

・OICは、オピオイドの鎮痛用量よりも低用量で起こるため、オピオイドの減量はOICを解決しないかもしれない [DePriestら, 2014, pubmed/25135384Shookら, 1987, pubmed/2824748]

☆ マネジメント

・評価ツール
Bowel Function Index (BFI) [Rentzら, 2009, pubmed/19912069Ueberallら, 2011, pubmed/21672306] など

・推奨治療
[Nelsonら, 2016, pubmed/26977281Argoffら, 2015, pubmed/26582720]
1. 予防的に、水分と食物繊維の摂取を増やし、下剤(浸透圧性 or 大腸刺激性)を開始
2. オピオイド開始より1週以上経過後、BFI スコアが30以上なら、以下を導入
末梢性μオピオイド受容体拮抗薬 (PAMORA)
(メチルナルトレキソン, Relistor®、ナロキセゴール, Movantik®)
or オキシコドン+ナロキソン (OXN) (Targin®)
or ルビプロストン (アミティーザ®)

[日本緩和医療学会, 2014. http://www.jspm.ne.jp/guidelines/pain/2014/pdf/02_04.pdf. p59]

 

便秘 オピオイド OIC 2016 PDFファイル

 

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